こんにちはマカベェです。
ジム・クレイマーの8/11のMad Moneyはどうだったでしょうか。
普通、政府がビジネスに関与すると、その企業にとって悪い結果になる、少なくともその企業にとって不利にはなる、そう考えがちや。この国では、民間企業は民間のままでいてほしいし、連邦政府との関わりは最小限であってほしい。企業が救済を必要としているのでない限り、政府には各企業を放っておいてほしい。そうやって皆思っとる。でも、少なくとも今日わかったNvidiaやAMDに関する限り、今のこの政府はもしかしたらそうではないかもしれん。
今日はダウは-0.45%、SP500は-0.25%、そしてナスダックは-0.30%と指数としては下落の日になって、株式市場全体としてはまちまちの展開になったりしたんやが、やっぱりざわついたのはこのNvidiaとAMDのニュースだったんや。今朝報道されたのは、アメリカ政府が、NvidiaとAMD両社が現在中国に販売しているAIチップの売り上げに対して15%の取り分を課すということなんや。そもそもトランプ政権は中国向けのAIチップ、すなわちNvidiaだったらH20、AMDだったらMI308などがあるんやが、それらの輸出を禁止したんや。
でも7月に規制が一部緩和されて、これらのチップの中国への販売が再開可能となって、それで今、再開の条件として「アメリカ政府へ中国売上の15%を“税金”として納める」ことが交渉されて、Nvidia・AMDの両社がこれに合意したということなんや。さらにトランプ大統領は、Nvidiaが中国向けに次世代チップを販売する承認を得る可能性があるとも述べたんや。これは驚きや。おそらくそれは、現行世代のBlackwellに近いが、計算能力はそれほど高くないバージョンになる見込みや。わいは今以上の、Blackwellとかが中国で許可され得るとは想定していなかったんや。これは大きなニュースやったが、株式市場は完全に無視した格好になっとって、さいはそのことは誤りやと思うで。
トランプ大統領は当初、売上の20%の取り分を求めていたが、NvidiaのCEOであるJensen Huangが交渉して15%まで引き下げさせたんや。これは良いニュースや。このやり方は全くの新機軸として受け止められたんやが、政府が自らの措置から利益を得るために持分を取ったのは今回が初めてではないで。つい最近も、国防総省がレアアース企業のMP Materialsに15%の出資を行って、その株価はその後倍になったんやが、これは国にとっては良いトレードで、国防総省にとってはなおさらや。わいは、今回のNvidiaの案件についても「株主のコストでダブルを取った」と言いたいところや。
Nvidiaは以前の再輸出規制がかかる前には、中国向けに四半期当たり約80億ドル相当のチップを販売しとったんや。そこから15%カットされるということは、四半期当たり10億ドル強、年間では約50億ドルに相当するんや。多くの企業にとっては大きな数字やが、でもNvidiaにとってはそうでもないんや。彼らはこの中国向けビジネスを、どんな手段を使ってでも取り戻したがっていたんや。選択肢が「ゼロにするか、政府に15%払うか」の二択なら、彼らは毎回15%を払うやろう。
この件でトランプ大統領が見返りを求めたことに憤慨する声も多かったで。ビジネスはあくまでビジネスであり、政府が直接関与すべきではない、という考え方や。フリーマーケットの政策とは言い難い、ということや。ゆすりだとまで呼ぶ人もいたで。でも大企業の視点からすれば、これは素晴らしい取引なんや。以前の輸出規制の下では、NvidiaもAMDもこれらのチップを中国にまったく販売できなかったんやから。もし15%の取り分と引き換えにそのビジネスを取り戻せるなら、株主にとっては勝利やで。
とはいえ、あらゆる政策判断をこのやり方でしてほしいわけではないんやが、今回のケースはあなたのポートフォリオという観点からは文句のつけようがないんや。言い換えれば、わいらは自由市場経済だと思い込むのが好きやが、連邦政府は常に直接関与しているということや。例えば思い出してほしいんやが、バイデン政権下のCHIPS法ってあったやろ。半導体の勝者を選び、アメリカ国内に工場を建てるための資金を与えるプログラムや。わいはCHIPS法を支持したが、でもこのプログラムへの大きな批判は、政府が投資先として誤った企業を選ぶかもしれないという点で、実際その通りのことが起きたんや。Intelは、いくつかのマイルストーンを達成した後に連邦政府から22億ドルを受け取ったんやが、Intelが何かをやり遂げたのかは明らかでないやろ。
半導体製造で我が国アメリカは大きく後れを取っていたわけやから、わいはCHIPS法には賛成だったんや。他の国に半導体製造を頼るのは国家安全保障上望ましくないからな。ただし、資金の配分先の選び方は嫌いやった。今日のIntelはかつてのIntelではないんやから、政府にIntelを選ばないようほとんど懇願したと言ってもいい。だが結局、政府側は判断を誤ったんや。それは本当にまずかったと思う。今回、少なくともトランプ政権は、実績ある勝者であるAMDとNvidiaという2社を選び、中国向け半導体ビジネスから15%の取り分を得て、納税者にとってはノーリスクで数十億ドルを手にしとるんや。
同時に、トランプが中国向け半導体ビジネスの15%を取るという手法には何ら目新しさはないことも理解してほしいで。政府が「持分を取る」ことはアメリカ政府がこれまで何度もやってきたことや。1979年、Chryslerが破綻寸前だったとき、政府は持分を取得して、その投資が同社の再建を可能にすると見込んだんや。数年後、その持分を売却した際、政府は3億1,100万ドルを得たんや。ではGreat Recessionではどうやったか。当時、政府は銀行の破綻を懸念して、業界全体を支えるため大手各行に大きな持分を取得したんや。その後、これらの持分は最終的にかなりの利益を出して売却されたんや。これも当然や。アメリカ政府が銀行に投資すれば、その銀行は潰れない。投資後の銀行の価値は大きく上がるんや。
なぜか政府が利益を出せなかった例もあった。例えばGeneral Motorsを救うために取得した持分では政府は利益を出せなかったんや。でもこれは、わいが調べた限り、単にトレーディングが下手だっただけや。最後に言及したいのは、政府は航空業界を存続させるために繰り返し多額の損失を被ってきたということや。直近ではパンデミック時や。この業界は10年か20年に一度は救済を受ける傾向があるようや。誰もこれらの航空業界の救済を気にしないんや。国内に航空業界が必要だからや。
ということで今回、NvidiaとAMDの中国ビジネスから15%の取り分を取ること自体、まったく目新しくはないんや。トランプがこの金を個人的に徴収しているわけでもないし、彼の個人的な何かのために使われるわけでもない。その15%はまっすぐ財務省、国庫に入るんや。中国向け売上に15%の取り分を課すのは、だから基本的には別の形の関税にすぎないということになる。そして政府は、少なくとも関税は山ほど課してきたんや。なら、これがあってもいいではないか、と思うやろ。
とはいえわいは、政府が中国向けチップ販売から15%を取るのが完璧な政策だと言っているわけではないで。ここには「ペイ・トゥ・プレイ」(カネを払って参入する)的な要素があって、確かに議論の余地はあると思う。国策による「政府への納付金」が、競争の公平性を損なうんやないか。中国市場シェア獲得競争の歪みを招くんやないか。安全保障名目で企業利益を収奪しているだけなのではないか。そういう批判はあるやろう。わいが大統領なら同じことをした、というつもりはわいもないんや。
ただ、近年連邦政府がビジネスに直接関与してきた数あるやり方の中で、今回のものは最も無害だとわいは言っているだけや。少し立ち止まって考えようやないか。過去50年の間に政府は何度もビジネスに直接関与してきたんや。わいにとって重要なのは、政府が本来妨げるべきでないことを妨げていないかどうかや。トランプ大統領が、Nvidiaは性能を落としたチップであっても中国に販売してはならないと言った時点を思い出してほしいで。あの発言はNvidiaの株価を急落させたんや。
だがそれ以上に重要なのは、中国が独自のAIチップを開発できるように追い込んでしまったことや。彼らに独自のAIチップを持たせるのは、我々にとってよくないんや。CEOのJensen Huangは大統領のもとに赴き、その主張を訴えたんや。彼は、中国が我々のAIチップに依存する状態のほうがアメリカにとって望ましいと懇願したんや。中国がNvidiaのチップ上で書くソフトウェアは、長期にわたって彼らをNvidiaに留めておくはずや、と。トランプは考えを改めてJensenの主張を受け入れたんや。言い換えれば、政府は本来介入すべきでない所に介入したが、その後、正しい方向へと方針転換した、ということなんや。
重要だったのはその大きな決断であり、今回のチップに対する実質15%の関税相当ではない。肝心なのは政府がきちんと正しい方向転換をしたということや。結論として、いくら嘆いてみても、このチップ取引は納税者にとっても、NvidiaとAMDにとっても良い話や。チップメーカー自身が不満を言っていないのなら、なぜわいらが文句を言う必要があるやろうか。
どんどんいろいろなことが決まっていきますね。
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