こんにちはマカベェです。
ジム・クレイマーの11/4のMad Moneyはどうだったでしょうか。
さて、Palantir が素晴らしい決算を出したにもかかわらず株価が上がらんかったから、「もう船を降りるべきだ、株式市場全体が割高に違いない」とみんなが判断してしまったんや。ばかげて聞こえるかもしれんが、実際のところ、今日の相場を動かしたのはまさにその発想やったとわいは思うで。ダウは-0.53%、SP500は-1.17%、そしてナスダックは-2.04%と下落の日になってしまったんや。みんないろいろな気持ちになるのはわかるが、でもここでは少し感情を抑えて、分析的に考えてみようやないか。
わいはしばらく前から、今の市場には3つの別々のマーケットがあると話してきたんや。ひとつは、主にデータセンターをめぐる高成長・ハイテク市場。二つ目は「実体経済」。そして三つ目が投機的な市場や。ひとつずつ見ていこうやないか。テック/データセンター経済は、多くの分野をカバーしとる。このグループをリードする企業は「第4次産業革命」の中心にいる存在や。いわゆる Magnificent Seven から、エンタープライズソフトウェア企業、そしてAIインフラの構築へと方向転換した工業系企業に至るまで、あらゆるものが含まれるで。
これらデータセンター関連銘柄の株価は、一般的に高いPERで取引されとる。マルチプルは、投資家がその企業の利益に対してどれだけの価格を支払う用意があるか、ということを示すものや。S&P500 採用銘柄の平均は、現在、来期予想利益の23倍や。そしてデータセンター株の多くは、その平均よりプレミアムが上乗せされた水準で取引される傾向にあるで。たとえば、Amazon は来期予想利益の32倍、Apple と Microsoft はおよそ33倍、Nvidia は来期予想利益のおよそ30倍で取引されとる。いずれも、S&P500 の平均的な企業より割高な株価水準にある企業の一例や。
でも、忘れてはならないのは、「一部の株は、他より高いプレミアムを与えられて当然だ」という点や。つまり、企業はみな同じではないんや。優れた企業もあれば、そうでない企業もある。今挙げた銘柄は、そうでない銘柄よりも“優れている”側に属するんや。もしこれらの企業が今後も予想以上のペースで成長を続けるなら、振り返ったときに「当時は割安だった」と気づく可能性があるで。これが、予想を上回る決算を出したときに起こることや。わいは、Nvidia に関しては『How to Make Money in Any Market』の中で詳しく説明しとるが、Nvidia の株は、予想利益から見るといつも割高に見えるのに、実際にはその予想を叩きのめすほどの好決算を出し続け、結果として「思っていたよりずっとお買い得だった」と後から分かる、ということが繰り返し起きとるんや。
そして次に、「わいら全員がよく知っている普通の経済」があるで。ここに属するのは、モノを作り、サービスを提供する企業や。多くの部分で、こうした企業は置き去りにされてきたんや。その理由のひとつは、消費者が弱含んでいるのではないかという懸念と、高金利や。長年続いた高インフレのあと、消費者は大型出費に対して慎重になっていて、そのしわ寄せが出とるんや。一部は、約100万人の政府職員が、ばかげた政府閉鎖のせいで給料をもらえていないことも原因や。
そして第3のグループが、投機的な銘柄や。こうした株は、最近よく見られるように、狂ったように急騰する一方で、今日見たように、はっきりした理由もなく一気に崩れ去ることもあるから、評価が非常に難しいんや。この種の銘柄は、今回起きているような調整局面では、持っている投資家が最も不利になりやすい株や。この第3のグループでは、お金があっという間に消えてしまうんや。とはいえ、ときどき二つのバケツにまたがるような銘柄も出てくるで。たとえば航空宇宙産業は、高成長株であると同時に「実体経済」の一部でもあるんや。
航空宇宙ほど堅調な業界はそう多くないし、そのことはマルチプルにも反映されとる。航空機には高度なテクノロジーが投入されとって、それは単にハードウェアやソフトウェアという形だけに現れるわけではないで。航空宇宙といえば、わいは明日、Harvard Business School に行って、GE Aerospace のトップである Larry Culp にインタビューするんや。彼は、この偉大な企業が失ってしまっていた価値を見事に取り戻してきたんや。Larry は GE の仕事に就く前、HBS の教授を務めとった。
さて、市場で最も興味深い部分は、最高度の成長株と投機的な株との“交差点”や。そこで思い浮かぶのが Tesla や。わいらは Tesla を自動車メーカーとして知っとるが、それだけなら特に投機的というわけではないんや。でも同時に、Tesla はロボティクスや自動運転という、最先端の2大テクノロジーへの投資先でもあるんや。Tesla は、第1のグループと第3のグループの両方に、ど真ん中で属している銘柄と言えるで。これこそが Elon Musk の“魔法”や。
ただ、世界中を見回しても、第1の「テクノロジーの世界」と第3の「投機の世界」の両方にまたがっていることを最も体現している銘柄は、Palantir 以外にないで。Palantir は昨夜決算を発表したんやが、その翌日に株価はほぼ8%も急落したんや。華々しい上昇のあとに訪れた、本当に厳しい一日やった。Palantir という企業は、簡単には定義できないんや。あらゆる企業に対して収益改善を手助けするコンサルティング会社であり、アナログからデジタルへ、あるいはある形式のデータ保存・検索から別の形式へと企業のトランスフォーメーションをターボチャージする「加速剤」でもある。
また、部門ごとにバラバラに存在しているデータを統合し、意思決定を改善してくれるパターンを見つけ出す「パターン認識マシン」でもあるんや。さらに、Pentagon をより強力にすることを専門とする防衛関連企業でもあり、そして「発明家」でもあるで。Palantir は、COVID ワクチンを生み出した Operation Warp Speed において巨大な役割を果たしたんや。この会社は、売上総利益率が非常に高くて、売上成長も“狂ったように”速いという意味で驚くほど儲かり、信じられないほど急成長しているビジネスや。
ここで、急成長テック企業の評価にあたって用いられる客観的な基準のひとつとして、いわゆる「Rule of 40」があるで。これは、その企業の利益率と売上成長率を足し合わせて、その合計が40を上回っているかどうかを見る、というものや。合計が40.0を超えていれば、その企業は「持つ価値がある」と判断されるんや。しばしば、成長率は非常に高いが利益率は極めて低いといった企業もあるが、それでも両者を足した数字が40を超えていれば、一般的なグロース投資家から“投資対象として許容できる”とみなされるんや。
でも Palantir は、昨夜の決算で売上高成長率63%、調整後営業利益率51%を発表したで。これは前代未聞の組み合わせや。実に見事や。「Rule of 40」なんて忘れんといかん。この会社は「Rule of 100」を余裕でクリアしとるんや。こんなのは見たことがないし、会社がこの数字を本当に誇りに思うのは当然のことや。でもひとつ問題があるで。わいらは、この数字に対していったいどれくらいの値段を払うべきなのかを考えないといけないんや。これが株価にどう反映されるのか。
普通の会社にはPERがあるが、Palantir の株は昨夜の時点で利益の300倍をはるかに超える水準で取引されとって、Tesla よりも高かったんや。これはさすがに投資家にとって「ちょっとやりすぎだ」と感じられる水準や。ここから話はさらにややこしくなるで。Tesla は売上高がほぼ1,000億ドルあり、時価総額は1.5兆ドルや。一方、Palantir の売上高はわずか40億ドルにすぎないのに、決算発表前には時価総額がほぼ5,000億ドルに達しとったんや。そうや、売上40億ドルの会社が5,000億ドルの価値を持ち、売上1,000億ドルの会社が1.5兆ドルの価値しかない、という構図になっていたんや。
昨夜 Palantir が決算を発表したとき、株価はどちらにも動き得るように見えたで。でもよくよく検討した結果、市場は「さすがに行き過ぎだ」と判断して、Palantir の株価は下がらざるを得なかったんや。Palantir の情熱的な CEO である Alex Karp は、この株価の方向性に不満を示して、彼に逆張りしてきた連中は今回もまた間違っていたことが証明されるだろう、といった趣旨のことを示唆したで。それはその通りになるかもしれん。でもわいは、ここには何もおかしなところはない、と考えるのも十分に合理的やと思うんや。この株は、現在の時価総額に見合うだけの中身がビジネスとして育つまで、いったん熱を冷ます必要があるだけなのかもしれん。わいはそう見とるで。
わいにとってより大きな問題は、今まさにこういう局面にあるという点や。「市場は割高すぎるのではないか」と聞かれたとき、ファンドマネージャーたちはすぐに、空高く飛んでいる投機的な銘柄や、高成長のAI関連銘柄のことを思い浮かべるで。そして、その印象だけで、株式という資産クラス全体から距離を置くように警告してしまうんや。これは、わいのキャリアを通じて何度も見てきた現象や。彼らは、S&P500 採用銘柄のうち、PERが23倍未満で取引されている残り334銘柄のことなど頭にないんや。そうした銘柄は決して法外なバリュエーションではないのに、彼らはデータセンター関連の投機的な株や Palantir のような銘柄にばかり固執してしまうんや。これは愚かであるだけでなく、有害でもあるで。
もちろん、目に見えて割高な株が存在するのは事実やし、丹念に分解してみれば、その多くのバリュエーションは正当化できる場合もある。わいは Magnificent Seven については、これから先に見込まれる成長ペースを考えれば、その評価は正当化できると思っとるし、最終的には Palantir についても同じことが言えると考えとる。一方で、利益がまったく出ていない銘柄や、大きな赤字を抱えている銘柄、あるいは売上すらないような銘柄は、わいにとっても扱いづらくて、皆さんも近づかない方がいいとここで言っておくで。
結論やが、ある日突然、投資家にはすべてが「ちょっとやりすぎだ」と感じられてしまうことがあるんや。Palantir を自分たちの“北極星”や“トーテム”のように見ていた投資家たちが、その Palantir が完璧な決算を出したにもかかわらず大きく売られるのを目にすると、彼らには市場全体が怪しく見え、結果として大量の売りが一気に噴き出すことになるんや。まさに今日起きたのはそれや。「超弱気派」の言うことを信じてはあかんで。ただし、これだけの上昇相場のあとでは、あなたが実際に保有している株を売ってくる人たちが必ず出てくる、という現実は受け入れなければいけないんや。なぜなら、彼らがこれまでの利益を失いたくないからか、あるいは単に痛みに耐えられないからや。
下落が続きませんように。
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