こんにちはマカベェです。
ジム・クレイマーの12/1のMad Moneyはどうだったでしょうか。
ここにリングがあるとして、左のコーナーには時価総額4.27兆ドルの現役チャンピオン、Nvidiaがおる。そして右のコーナーには、約8万6,000ドルで挑むチャレンジャー、Bitcoin。この闘いで懸かっているのは、株式市場そのものにほかならないんや。どちらが勝つのか、まだ誰にも分からん。もしこの高リスクの勝負でNvidiaが勝利すれば、Bitcoinが下がり続ける局面では、株式市場はおそらく上昇するやろう。逆にBitcoinが上昇し続ければ、株式市場は確実に下落に向かうんや。馬鹿げて聞こえるかもしれんが、これが現実なんや。
このタイトルマッチが今日のセッションを支配した結果、いわゆる普通のグロース株は堅調に見えた一方で、投機的な株はひどい有様になって、今日はダウは-0.90%、SP500は-0.53%、そしてナスダックは-0.38%と下落の日になったで。今朝かなり早い時間にわいが予想していたよりはいくぶん強い動きや。今朝オフィスに来たときにはすべてが下がっとって、NvidiaがSynopsysという半導体設計用ソフト企業と重要なイニシアチブを発表するまでは、特に大きな材料は何もなかったんや。
ということは、今日の市場で見られた上昇要因は、Nvidiaからの好材料によるものだと考えていいやろう。ちなみにNvidiaの株価は2.92ドル上昇したで。世界最大の時価総額を持つ銘柄がこれだけ上昇することは、市場全体にとって非常に重要や。でも理解しておいてほしいのは、Bitcoinが市場のかなりの部分に対して、奇妙で、ほとんど知られていないような支配力を持っているという点や。週末のCNBC Investing Club向けの長文レポートで詳しく説明したんやが、あらゆる暗号資産のデリバティブを合計すると、市場全体の驚くほど大きな割合を占めることになるんや。
株式と違って、暗号資産には「全財産を賭ける」ような側面があって、Bitcoinが今のように売られるたびに、そのことが株価指数を脅かすんや。もちろん、暗号資産にはさまざまな形態があるで。経済的大惨事へのヘッジとして、特に自国通貨が崩壊するような状況に備えた「価値の保存手段」として保有する人もおる。それを今すぐとはいかなくても、将来的には通貨として使えると考えている人たちもおる。最近まで巨額の富を築いてきた投資家もいれば、単に「これからもっと上がる」と信じてお金を借りてまで暗号資産を買う投機家もおる。
ここでわいが主に念頭に置いているのは、Strategy、前の名前はMicroStrategyという実在の企業や。この会社は今や、実質的にBitcoinそのものへのレバレッジド・ベットとなっっとる。Squawk Boxという番組に頻繁に登場するMichael Saylorは、Strategyの創業者でエグゼクティブ・チェアマンなんやが、筋金入りのBitcoinの信奉者や。彼は追加でBitcoinを購入するために、800億ドル以上の負債を負うこともいとわないんや。Bitcoinが上昇している局面では、それは素晴らしいポジションでや。でもBitcoinが下落している局面では大惨事や。
市場の一部には、Saylorを「Humpty Dumpty的な存在」と見ている人たちが常におるんや。卵が“落下”しても、暗号資産の「王様の馬たち」と「家来たち」、つまり、暗号資産に関わるあらゆる勢力が、果たして彼を元に戻せるのかどうかを見守っているんや。そして、多くの人が、もはや二度と元どおりにはできないのではないか、そう思っとるんや。Bitcoinの信じがたい触手は、実にさまざまな分野にまで伸びとる。明らかなところでは、あらゆる暗号資産関連やマイニング銘柄はもちろんですが、量子コンピューティング、ウラン関連、データセンター向けの代替エネルギー、さらにはFAAの審査を通るかどうかも怪しいような空飛ぶ車まで、こうしたものはみな、投機熱と「はるか未来」に賭ける極めてボラティリティの高いベットによって、まとめて一気に下落しがちなんや。
それらはどれも粗削りなテーマで、ひとまとめにして見ると、市場の健全性にとっては危険な存在や。わいが一番恐れていること、いつも頭から離れない悪夢はここにあるんや。ところがウォール街はそれを無視していて、その一因は、この暗号資産コンプレックス全体が莫大な手数料を生み出しているからやと思うし、この業界は法定通貨建ての手数料ビジネスならどんなものでも歓迎してきたからや。
さて、ここからは「光の側」の話、Nvidiaについて話そうやないか。Nvidiaの株価が10月末に212ドルに到達して以降、ずっと心に引っかかっていることがあるで。この会社の長期的な実績は誰も疑えないほど盤石であるにもかかわらず、「最近何をしてくれた?」という短期目線の投資家たちはこの銘柄に背を向け、今日の朝方には一時172ドルすれすれにまで売り叩かれて、まるでブーイングを浴びせているような状態やった。Nvidia株が浴びてきた数々の攻撃や中傷について延々と語ることもできるが、ここでは現在進行中の混乱だけに絞って話をしようやないか。
つい最近まで、市場はNvidiaがAI向け半導体市場のほぼすべてを独占していると見なしとった。でもここにきて、Nvidiaは格好のサンドバッグになっとる。まずAMDが競合チップを発表して、そのチップをOpenAIが採用したんや。その少し前に、Nvidia自身がそのOpenAIに数十億ドル規模の投資を行って、自社向け半導体の巨大な受注を受けたばかりだったというのに、や。
続いてGoogleが、自社製チップの生産拡大を表明したで。これらは一部の人たちからは、これまで「社内向けの後付け品」程度だと思われていたものやが、実際には非常に優れたものであることを世界に示したわけや。さらに、Nvidiaの巨大顧客であるMetaからの将来の受注が、Googleに流れる可能性すら取り沙汰されとる。Metaが宿敵であるGoogleと何かしら組むこと自体、想像しがたいことだったんやが、コスト削減のためにNvidiaではなくGoogleに金を払うというのなら、それはNvidiaにとって大きな悲劇や。
そして忘れてはならないのが、Gemini 3の存在や。これは、Googleが優位に立っていると指摘するもう一つの理由になっとる。そのうえNvidiaの最良チップにおいては、中国が「飛行禁止空域」のままになっとる。わいは、むしろ中国をNvidia製半導体中毒にしてしまうことこそ、わいらの国益にかなうとすら思っとるんやが、そんなことを言うと「グローバリスト」と呼ばれてしまうやろう。
次に起きるのは何か? かつては中国からの巨額利益を上げる独占企業と見なされていたものが、一転して中国抜きの、不満げな寡占企業に見えてくる、つまり、Nvidiaの高い利益率の終焉と、「老いさらばえたライオン」の時代の始まり、というシナリオや。このような流れの中で、Nvidia株はずっと悪夢のような状態が続いてきたんや。時々、本当にティッカーシンボルをNVDAからDNR(「Do Not Resuscitate=蘇生しないでくれ」)に変えたほうがいいんやないかと思うことすらあるで。少なくとも、今日まではそう感じとったんや。
でも今日、Nvidiaがチップ開発プロセスの自動化を支援する企業であるSynopsysとのパートナーシップ拡大を発表したんや。Synopsysは、この関係をより強固にするための投資として、Nvidiaから20億ドルを受け取ったんや。まずは今朝の“Squawk on the Street”で、CEOのJensen Huangが語った内容を聞いてみようやないか。「これはとてつもなく大きな取引です。今日発表したパートナーシップは、世界で最もコンピューティング集約的な産業のひとつである“設計とエンジニアリング”を変革しようとするものです」
Jensenは完全に攻めの姿勢や。今回のパートナーシップは、Nvidiaの超高速チップとSynopsysのツールを組み合わせ、これまで想像もできなかったスピードとスケールでシミュレーションを行えるようにするものや。狙いは、大型製品の製造に関わるあらゆる工程を自動化できるようにすることや。つまり、ものづくりのやり方そのものを「再革命」しようとしとるんや。これは何を意味するんやろうか?それは、40兆ドル規模の建設産業に攻め込み、巨大バルク船から空母にいたるまで、あらゆる大型プロジェクトの建設を、はるかに簡単に、シンプルに、無駄を減らし、そしてもちろん、より安く行えるようにしようとしている、ということや。
たとえばの話やが、Boeingは「787 Dreamliner」の開発に150億ドルを費やしたんや。現在の価値に引き直せば約250億ドルに相当するで。そのかなりの部分が試作・プロトタイピングに費やされたと考えられるんやが、この新しい技術があれば、その多くをデジタル上で、はるかに少ないコストで行える可能性があるんや。より現実的には、新旧さまざまな企業が、建設費の大幅に抑えられた製造プラントを次々と建てられるようになり、その結果、プロジェクトの成功率も高まるかもしれん。あるいは、単に生産性を高めるためのツールにとどまるだけかもしれん。でも、少なくとも、わいらはこれまでこの種の発表を見たことがないんや。
今回の発表は、二つのことを示しとる。第一に、現在のすべてのシステムはNvidiaのGPUよりはるかに遅いCPUを前提として構築されているため、今後、空前の規模のリプレースサイクルが訪れるやろうということ。第二に、わいらがよく知っているチャットボットを構築するためのハイパースケーラー同士の「競争」は、この発表が出た今となっては、もはやそれほど重要ではないかもしれない、ということや。
GoogleのチップがNvidiaにとって何を意味するのか、ということにおいては、OpenAIの成長鈍化の可能性と合わせて、そこには非常に大きな「賭け」が乗っているということになるやろう。もしGoogleのGemini 3が勢いを増し、Nvidiaと関係の深いOpenAIの成長が失速するようなことがあれば、事態はかなり厄介なものになり得るんや。でも最終的に、それは消費者向け(business to consumer)の戦略や。そして株式市場は歴史的に、BtoCビジネスを移り気で、利益を上げにくく、それほど高く評価すべきではないものと見てきたんや。
一方で、NvidiaがSynopsysと進めている取り組みは、一般消費者の皆さんにはほとんど見えない世界の話ではあるんやが、実際に多額の利益を生み出す潜在力という点では、はるかに大きなものを秘めとる。ウォール街はBtoBビジネスが大好きや。そして今回のNvidiaとSynopsysの話はまさにBtoBなんや。では、このSynopsysとのディールは、Nvidia株に対する売りを食い止めることができたんやろうか? 明日、データセンターの大規模投資に極めて重要な影響を与えるような指標が出て、市場全体を押し下げてしまう可能性もあるから、判断は難しいところや。それでも、このディールが重要であることは間違いないで。単なる見せかけの発表ではなく、中身のある、BtoBの取引で、少なくとも今日に関しては、Nvidia株の流れを好転させたんや。
結論として、わいは「まあ、どうなるかは誰にも分からない」といった言い方はあまり好きではないんや。ただしこうは言えるやろう。投機家たちは、Humpty DumptyさながらのBitcoinの相手をするだけで手一杯になりそうやが、Nvidiaを支持する側は、今日の発表によって「第二の風」を得たばかりで、それは一日限りの値動きを超えた意味を持つ可能性があるということなんや。
Nvidia株が持ち直しますように。
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