【ジム・クレイマー】AT＆Tの愚かな買収劇！誰もその愚かさを謝らない！【Mad Money】

今日はダウは-0.16%、SP500は-0.25%、そしてナスダックは-0.38%やったな。今日の大きなニュースはこれや。今朝AT&T (T)がメディア部門のTime WarnerをスピンオフしてDiscovery (DISCA)と統合させるというニュースが出たやろ。AT&Tはそれで430億ドルを受け取って、AT&Tの株主は新しくできる会社の71%を受け取るんや。このニュースに関する意見はほとんど全てポジティブやったんや。全員に素晴らしいディールやと言われとる。わいは正直言って耳を疑ったで。わいは素晴らしいディールやとは全く思わんで。それどころかここのところで最もダメなディールや。AT&Tはたった三年前に850億ドルでTime Warnerを買収したんや。それより全然低い金額のディールで、馬鹿げとる、愚かなディールと呼びたいで。

わいはまじめくさった顔でこのディールを語ることはできん。そもそもAT&TがTime Warnerを買ったのは、AT&Tの直接的な顧客網の強さとTime Warnerのクリエイティブな部分の相乗効果が期待されたからや。その時AT&TのCEOのRandall Stephensonは「顧客、コンテンツの創作者、そして広告主にとって、メディアとエンターテイメント企業がどのようにワークするのかのフレッシュなアプローチだ」というとったんや。StephensonはTime Warnerとの直接的な関係を強調して、ほとんどのメディア企業はこのような直接的な関係を持てていないと言うとったんや。やけどそもそも、なんで電話会社がメディア企業を買わんとあかんのや？「直接的な関係」を持ててないんじゃなくて、持つ必要が無いだけなんやないんか？

今回のニュースはそのような過去に言われとったことの否定や。AT&Tとの関係でシナジーが生まれ、メディア企業はよりマネタイズができる、そんなことはなかったんや。わいは新しいCEOがいろいろな関係を分解しておる時に話を聞いとったが、シナジーを生み出すはずの「直接的な関係」なんてものは無かったんや。むしろ、AT&Tが配当を維持しようと思ったら、借金が重くのしかかって来とったんや。そもそも５G関連で投資がすごくなっとって、その上更に借金を抱えたら配当が厳しくなるのは当然や。そうや、配当や。AT&T株を買う人は、配当目当てに買っとるんや。そしてもしあなたがニュースを注意深く読んだら、AT&Tの配当が半分にカットされるということに気づいたやろう。彼らは口では言わんかったが、そうや、大々的にそんないけてないことを言えるはずがないやろう。やけどリリースではそう書いとるんや。AT&Tの残りの資産に対して40%~43%の配当割合にするということは、今の配当がざっくり50%になるということなんや。なのにええディールやって？どこがや？

わいにとって今回のディールは、この会社の価値と株主のお金を著しく毀損することや。まじで「直接的な関係」は何も機能せんかったんか？わいはいろいろな意見を聞いたが、エンターテイメント業界の動きが早すぎて、AT&Tはこういう選択肢をとるしかなかったということなんやが、そもそも「直接的な関係」が生み出すはずの利益はどこにいったんや。わいが思うにエンターテイメント業界の動きなんか関係が無いで。ただそもそもの買収が間違っとったということなんや。「直接的な関係」のコンセプトが完全に間違っとったか、完全に馬鹿げていたか、もしくはその両方や。やけど皆それをはっきり言わんのや。誰も「私の前任者が数年前に馬鹿げた850億ドルの買い物をしたのですが、私たちは顧客との重要な関係など持ち合わせていない会社なので、「直接的な関係」とやらを生かすこともできず、そもそも借金が嵩んでて買う能力が無かったのに何を思ったか超背伸びして買ってしまい、だから私はそのディールを半値で処分して、しかも配当を半分にカットしなければいけなくなりました。株主の皆様は私たちの株を配当を期待して買っていると思いますが、たぶん配当が唯一の買う理由なんじゃないかと思いますが、このようなバカなことをしでかしまして、配当も減ってしまうこと、ご期待に沿えずお詫びの言葉もございません」とは言わんのや。やけどそう言った方が、この日いろいろ言われたことよりもベターやろ？わいは今日はいっぱいごみのような意見を聞いたで。やけどこのように正直に言うCEOはほとんどおらんのや。

さて、このことがあなたにとって、株主にとってどういう意味があるのかというのを言おうやないか。今回起こったことは持ち帰るべき大事なメッセージが含まれとるんや。

まず第一に、どんなことでも起こりうるということや。今回、シナジーが利益をもたらすやろう、そしてそれで配当が安全やろうと信じた株主に対して、その期待を完全に裏切ってしまったことに対して誰も謝らんのや。誰もこの壮大な無駄について取り立てて言おうとせんのや。誰もこの馬鹿げたディールをやった前経営陣をやり玉にあげようとせんのや。やり玉にあげるまでいかなくても、問題だったんじゃないかということすら言われんのや。誰も愚かだったことを謝ろうとはせんのや。

そして第二やが、わいらは何が本当にあかんかったんか、思案せんとあかんのや。AT&TとTime Warnerのディールは馬鹿げてたということはできるが、それは一部分でしかないんや。他の部分としては、めちゃめちゃ負債がかさんどる会社がどうなってしまうのかというところなんや。Apple (AAPL)とかAlphabet (GOOGL)とかFacebook (FB)がこのような馬鹿げたことをやってもまだ我慢できるで。彼らはキャッシュをたんまり持っとるから、少々馬鹿げたことをしてもそれを吸収する余力があるんや。実際は彼らはこんな馬鹿げた買収をやったことはないんやけどな。やけどそもそも負債がかさんどる企業が、まだまだ負債を増やしてワークしない買収をやったら、本当にバカみたいなんや。わいはなるべく礼儀正しく言おうとしとるんやが、言葉が悪かったらごめんやで。

そして第三やが、配当が高すぎる会社に対して配当目当てで買ったらあかんのや。配当が6-7%あるような会社は、会社や状況にもよるんやが、何かが間違っとることが多いんや。うまくいっていれば株価がもっと上がって配当がもっと下がるはずなんや。今日は株価ははじめは上がったけどもどんどん下がって-2.7%で、時間外でも下がり続けとるが、売っとる人は正しいと思うで。まだまだ下がるかもしれんと思うで。

最後に会社ビジネスはスポーツと違って、レフリーがおらんということや。そんなことやったらあかんで、ルールに反しとるで、というようなことは誰も言わんのや。経営陣とかボードメンバーがその役割をせんとあかんのやが、そうはできんかったりするんや。AT&Tの場合も誰もその役割を担えんかったんや。

本当に多くの会社がAT&Tみたいに負債が多くなかったり、規律のあり無しで言うと、AT&Tよりひどくなかったりしとることは幸運なことや。今大きな買収をしたり買収をしようとしとる三つの会社は、全部理に適っとる動きなんや。Salesforce (CRM)は270億ドルでSlack (WORK)を買おうとしとって、Nvidia (NVDA)はArm Holdingsを400億ドルで買おうとしとって、Advanced Micro Devices (AMD)はXilinx (XLNX)を350億ドルで買おうとしとる。Salesforce.comはMicrosoftと競争するためにSlackが必要なんや。Slackは素晴らしい商品でCRMのCEOのMarc Benioffは素晴らしい買い手や。彼を疑う人たちを何度も何度も間違いやと証明してきたんや。Nvidiaはデバイスビジネスを所有したくて、Armがベストや。NvidiaとArmのコンビネーションは強力すぎて、もしかしたら買収が認められんかもしれんほどや。AMDはパロコン以外にビジネスを分散、拡大させるためにXilinxが必要なんや。Xilinxの半導体は車載や航空宇宙やヘルスケアと、全然違うマーケットで利用されとるんや。

これらのディールはその価値がめちゃめちゃクリアで議論の余地がないほどや。これ以上の錬金術はないで。言い換えるとAT&TがTime Warnerを850億ドルで買収するなんてことは起きてはあかんことやったんや。ここにはたった一人の勝者しかおらん。Jeff Bewkesや。Time Warnerの前CEOで会社をAT＆Tにつかませた男や。その際に彼の株主は儲かったんや。株主を儲けさせたんや。そのことが今回のことで今一度思い出されるんや。