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子供のお金教育を考える際に、いつも考えてしまうことを以下に書きました。
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今回は子供のお金教育を考える際に、いつも考えてしまうもう一つのことについて書きたいと思います。
以下の、有名なダニエル・ピンクさんのTED talkで語られていることです。
自分のとても好きな話なんです。
https://www.youtube.com/watch?v=rrkrvAUbU9Y&feature=youtu.be
手短に要約させてもらいます。
私たちは仕事をする際に、報酬がインセンティブになっていますよね?
それが機能するときもあるけども、それがクリエイティビティを邪魔するときもあるという話です。
話は1945年にカール・ドゥンカーという心理学者が考案した、ろうそく問題から始まります。
部屋に入って、ロウソクと画鋲とマッチを渡されて、「テーブルに蝋がたれないように、ロウソクを壁に取り付けてください」と言われます。
多くの人は、画鋲でロウソクを壁に留めようとしますが、うまくいきません。
マッチの火でロウソクを溶かして壁にくっつけるというアイデアを思いつく人もいますが、うまくいきません。
5分か10分すると、たいていの人は解決法を見つけます。
以下のようにすればいいんですね。
最初あの箱を見て、単なる画鋲の入れ物だと思いますが、それはロウソクの台にもなるということです。
このように機転を利かせなければいけないことに対して、報酬はどう機能するのでしょうか?
プリンストン大学のサム、グラックスバーグという科学者がそのことについて参加者を集めて実験を行いました。
一つのグループには、一般にどれくらい時間がかかるのか平均時間を知りたいから、どれぐらい早く解けるか時計で測ります、と言います。
ただ測るだけです。
もう1つのグループには、報酬を提示するんです。
上位25パーセントの人には5ドルお渡ししますし、1番になった人には20ドルあげます、って言うんです。
前者と後者、どっちが時間がかかるでしょうか?
普通はインセンティブがあるぶん、後者の方が必死になって早いと思うじゃないですか。
それが、違うんです。
後者の方が平均で3分半、余計に時間がかかったんです。
ロウソク問題が以下のようだったらどうでしょうか?
前のものと違いがわかりますか?
そうです、画びょうが箱に入っていない場合です。
その場合は、報酬があるほうが、回答時間が早くなるそうです。
画びょうが箱に入っていないと、箱をロウソク立てに使うというのを思いつくのが簡単になって、そういう簡単な問題の時は、インセンティブが働くのです。
そして、似たような実験は何度も何度も、40年に渡って再現されてきたのです。
事務的な作業とか、簡単な作業とか、数をこなすようなものとか、視野が狭くてゴールがはっきりしているものの場合は、報酬がある方がいつも早いのです。
でも機転を利かせたり、広い視野が必要だったり、クリエイティビティを発揮しなければいけない問題では、報酬はむしろ害になるのです。
報酬というのは、時に視野を狭めて、心を狭い範囲に集中させて、可能性を限定してしまうんです。
これは感情の問題でも哲学の問題でもありません。
科学的な事実なんです。
ダニエル・ピンクさんの動画には、更なる例がいろいろ出てきて、同様のことは違う種類の実験でも、アメリカでもインドでもどこでも、共通に見出されることが語られています。
子供の教育のことを考える時に、自分はいつもこの話を思います。
子供の学習と成長は、事務的な作業でも簡単な作業でもありません。
子供が将来を思い描くときにする思考は、自由な意志と狭い何かにとらわれない心が大事だと思います。
お金のことを考えると、自主性や内的な動機付けが阻害されるんじゃないかという不安があります。
自分自身の成長のためにやるという意欲。
それが重要なことだから、自身よりも大きな何かのために取り組むという意欲。
それが楽しいからやるという意欲。
こういう内的な動機付けに基づく人生を歩いて行ってほしいと思います。
充実してクリエイティブな人生を構築するには、そういう内からの意欲が大事なのではないかと思います。
お金をもらえるから、というアメとムチ理論はますます無くなっていくんじゃないかと思います。
坊主どもに何歳になったらお金の話をしようかな。
今しばらく逡巡したいと思います。
応援よろしくお願いします。