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【コロナウイルス】BCGワクチン接種はコロナウイルス対策として有効か!?日本人に朗報!?【パンデミック】

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こんにちはマカベエです。

コロナウイルスが猛威をふるい続けていますが、国によって感染者数と死者数に開きが出ていますよね。

いろんなファクターが影響していると思います。

文化的な差もあるでしょう。挨拶習慣や、宗教習慣や、家族形態とか、国民性とかですよね。

マスクをつける習慣もそれぞれの国によって違いますよね。

高齢者の割合も違うでしょうし、気候や地理も違います。

あとは、インフラの差もあるでしょう。

医療システムの充実度や、そのアクセス、集中治療室(ICU)や人工呼吸器の数、これらの差は大きいですよね。

また、政治的な差もあると思います。

どれぐらい早く強硬に都市封鎖をしたか、や、社会的距離をとることの実施度でも変わると思います。

あと、そもそも感染者数は、あるいは死者数も、検査をどれぐらいしているかというファクターも大きいですよね。

国によって感染者数と死者数に開きが出ている理由はいろいろ考えられて、多くの人も考えているのですが、なぜならそこに、治療や予防に関わるヒントが隠されているかもしれないからですよね。

いろいろなことが考えられますが、本当に環境的な違いだけでこんなに違いがでているのか?

その中に生物的な違いが無いのか?

人種によってDNAレベルでの違いは多くあるので、何かしらあるかもしれなくて、もしかしたら今後の研究でそういうことも明らかになるかもしれません。

しかしその生物的な違いで今話題になっているのが、BCGです。

 

BCGとは何か

BCGはフランス語のBacille de Calmette et Guérin の略なのですが、カルメットとゲランの菌という意味です。

20世紀初頭に、フランスのパスツール研究所の研究者だったアルベール・カルメットとカミーユ・ゲランが、ウシ型結核菌の強毒株の一つであるNocard株を継代培養してBCGの元になる菌株を作製しました。

アルベール・カルメットさんの写真は以下です。

 

カミーユ・ゲランさんの写真は以下です。

 

 

病原細菌では実験室で人工的に培養を繰り返すうちに毒性が弱くなる現象がよく観察されますが、ウシ型菌は増殖の遅い抗酸菌の一種であったため、作製には13年間、230代にわたる継代培養が行われたそうです。

その結果、ヒトに対してほとんど病原性を示さないほぼ無害なBCG株を作り出すことに成功しました。

その株を用いたBCGワクチンは、現在実用化されている唯一の、結核の予防に有効なワクチンです。

乳幼児結核の予防や重症化の予防の効果が広く認められていますが、BCGワクチン接種を実施するかどうかについては、国ごとに判断が分かれている状況です。

しかしサイエンスって本当にすごいですよね。

こうやって一つ一つ脅威に対処してきたんですよね、大昔から。

現在のコロナウイルスも早晩対処できるといいですよね。

 

BCGとコロナウイルス感染との相関関係

さて、そこで今話題になっているのが、BCGワクチン接種を実施している国は、コロナウイルスの感染者数・死亡者数が少ないのではないかという相関関係です。

Jun Satoさんという人のブログのJSatoNotesによくまとまって書かれています。

 

 

PLoS Medicineという雑誌に2011年に掲載されたBCGワクチンに関する論文があります。

 

 

その中のFig. 2にBCGワクチンを実施している国としていない国の図があります。

 

 

A(黄色)は、 現在BCGの予防接種プログラムが実施されている国です。

B(紫)は以前は誰にでもBCG予防接種を推奨していましたが、現在は推奨されていない国です。中止した年は、スペイン1981年、ドイツ1998年、イギリス、フランス2005年~2007年などです。

C(オレンジ)はBCGワクチンの普遍的な接種プログラムが無い国です。

この図と、以下のジョンホプキンス大学がずっとアップデートしている、コロナウイルス感染者数の図を見比べると、相関関係があるように見えてきますよね。

 

 

BCGの接種が行われている国では、ウイルスの広がり方が遅いのではないかと。

相関関係があることと因果関係があることはもちろん別ですが、面白い視点ですよね。

より詳細に見ると、例えばスペインとポルトガルです。

隣国同士で地理的にはあまり変わらない両国ですが、今スペインは85195の感染者と7340の死者を出していますが、ポルトガルは6408人の感染者と140人の死者に過ぎません。

スペインはBCGの接種プログラムがありませんが、ポルトガルは1965年から2017年まで実施されていました。

同様に、例えばイタリアとクロアチアです。

イタリアはBCGの接種プログラムがありませんが、クロアチアは実施されています。

今イタリアは97840の感染者と10789の死者を出していますが、クロアチアは790人の感染者と6人の死者に過ぎません。

南アメリカでは、エクアドルが唯一、今BCGをやってない国ですが、他の南アメリカの国に比べて感染者数、死亡者数とも多くなっています。

この、相関があるということは、プレプリントという、まだ審査は受けてない段階ですが既に論文になっています。

 

 

BCGの接種プログラムが無い国は、コロナウイルスでの死者数が多いです。

 

 

BCGの接種プログラムが無い国は、コロナウイルスの感染者数が多いです。

 

 

BCGの異なる株について

さて、BCG株はいろいろな種類があるらしいんですね。

BCG の歴史:過去の研究から何を学ぶべきかという記事の中に詳しく書かれています。

 

 

以下の表を見ると、日本で使われているBCGはオリジナルに近いですが、デンマークのものはちょっとずついろいろ無くなっています。

 

 

MPBOOというのは結核菌のタンパク質ですが、そういうのがオリジナルに近い日本BCGでは含まれていますが、それより後に枝分かれしたBCGでは無くなっていますね。

 

 

日本BCGの方が、それより後に枝分かれしたBCGよりも、コロナウイルスに対して有効性が高いのではないかという指摘がなされています。

Wikipediaによると、ドイツの今の感染状況は以下のような感じです。

 

 

旧西ドイツの方が、旧東ドイツより感染者数が多いですよね。

これは人口密度とはあまり相関は見られません。

旧東ドイツはロシアのBCGを使っていたのに対して、旧西ドイツはより新しいヨーロッパ型のものを使っていたのです。

ドイツは1998年にBCGをストップしていますが、それでも効果があって、しかもBCGのタイプによって有効性が異なるかもしれません。

日本型BCGは、日本、タイ、台湾、イラク等で使わせていますが、全ての国でコロナウイルスの感染者数と死者数が低いです。

イラクは日本型のBCGワクチンを使用し、イランは独自のワクチンを1947年から1984年まで使用していたということなのですが、今イラクの感染者数は547、イランは41495となっています。

 

同じ国でのBCG接種とコロナウイルス感染の関連性

日本では1951年から全ての赤ちゃんに対してBCG接種が義務付けられました。

日本でコロナウイルスによって死亡している人の大半は、BCG接種が義務付けられていなかった時に生まれた高齢者の方です。

ポルトガルでは、1965年から2017年まで、BCGワクチンが義務付けられていました。

すなわち、3-55歳の人はBCGを必ず受けていることになります。

https://www.dgs.pt/em-destaque/relatorio-de-situacao-n-024-26032020-pdf.aspx の資料によると、死亡しているのは高齢者のみです。

 

 

高齢者の方が免疫も弱いと考えられ、相関関係としても統計的にどうこういえるレベルではありませんが、面白い視点だと思います。

 

BCG接種はコロナウイルスになぜ有効になり得るのか?

西川伸一さんという方が、BCGはなぜウイルス感染予防効果があるのかというコラムを書かれていて、その中で以下の論文を紹介しています。

 

 

オランダのグループの論文ですが、題名は、BCGワクチンは、”Trained Immunity”で誘導されたサイトカインによって、ヒトのウイルス感染を防御する、というものです。

BCGって結核菌に対するワクチンですよね。

でも、もともとBCGで免疫を強化して、結核だけではなくて、ガンや感染症を抑制しようとする試みは今までも行われてきたらしいんですね。

この論文ではまず、BCG接種を受けた人の血液からモノサイト、単球を分離して、ヒストンのアセチル化を調べて、BCG接種によってエピジェネティックな状態、すなわち遺伝子のスイッチの入り方が大きく変化することを示しています。

結果として特にサイトカインや様々な増殖因子を分泌する方向にプログラムが変わるということらしいです。

すなわち、結核菌が来たときに働くというだけではなくて、BCG接種によって、長く持続する血液の変化が誘導されるということです。

この状態を著者らはtrained immunity(訓練免疫状態)と呼び、その状態では、IL-1βやIL-6などの分泌が恒常的に高い状態になっているんです。

その結果として、例えば無毒化した黄熱病ウイルスを接種した時は、血中のウイルス量がBCGを接種された群では約1/5になることを示しています。

 

 

また、東北大学の大類 孝さんの、BCGワクチン療法による高齢者肺炎の予防法の確立という研究課題科研費の報告書で興味深いことが報告されています。

 

 

以前、日常生活の活動度が低下して、かつ肺炎を繰り返す寝たきりの高齢者では、細胞性免疫の指標の一つであるツベルクリン反応が陰性化していることがわかっていたんですね。

あと、ツベルクリン反応の陰性群では陽性群に比して肺炎発症率が有意に高いということらしいのです。

それで大類さんはこの研究で、BCGワクチン接種が、寝たきり高齢者における肺炎の発症を予防できるかどうか試しているんです。

高齢者介護施設に入所中の日常生活の活動度が低下した155人の高齢者を、ツベルクリン反応を調べて陽性群と陰性群に分けて、さらに陰性群を無作為にBCG接種群及び非接種群に割り付けをして、BCG接種4週間後に再びツベルクリン反応を施行し、陽性者を陽転群として、その後2年間にわたり各群における肺炎の発症率を追跡調査したということなんです。

その結果、ツベルクリン反応陰性群では44名中19名(42%)に、陽転群では41名中6名(15%)に、ツベルクリン反応陽性群では67名中9名(13%)に新たな肺炎の発症が確認されたということで、ツベルクリン反応陽転群では陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制された(p=0.03)ということです。

これらの結果は、BCG接種は肺炎発症の予防効果を持っていることを示しています。

BCGワクチン投与群では、免疫能の指標であるリンパ球数等が上昇して、BCGワクチン投与が寝たきり高齢者における細胞性免疫能を高める事が確認されています。

これらの事実は先のオランドの論文とも一致しますよね。

ざっくりいうと、BCG投与によって、免疫力が高い状態になり、それは長く続くもので、ウイルスにも肺炎にも強くなるということです。

BCGでコロナの抗体ができるということではないが、人体への影響を弱めるということは十分に考えられるということです。

 

既にBCG接種がコロナウイルスに対する取り組みとして行われている

ドイツのマックスプランク研究所では、コロナウイルス対策としてBCG接種が有効かを調べるために、BCG接種を開始しています。

 

 

オランダでも主として医療従事者への接種が行われていて、Science誌の記事にもなっています。

 

 

オーストラリアでも4000人の医療従事者でテストしてみることが報道されましたよね。

 

 

このほかギリシャ、イギリス、デンマーク、アメリカでも同様の研究が検討されています。

BCGなどの確立されたワクチンを研究してもほとんど利益にならないから、あまりそういう研究がこれまで進んでこなかったということはあると思うんですよね。

ワクチン開発や治療薬開発には時間がかかるので、これまで高い安全性が認められてきて広く使われてきたBCG接種が効くとなれば素晴らしいことですよね。

ただし、今のところはまだ希望の光が見えている段階で、推論の域をまだ出ないと思います。

疫学的な相関関係はあるやに見えて、偶然の一致とは考えにくい感じですが、統計的に優位かどうかの議論も弱く、他の様々な因子もからむ問題です。

この先大規模に科学的に試された結果でどういう結果になるのか見守りたいです。

あと、仮に効果があったとしても、コロナウイルスに感染しないわけではありません。

重症化が防げる可能性があるだけなので、決して過信せずに、感染しないように予防することを心掛けたいですね。

 

 

BCGが本当に効果があるといいですよね。

 

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