【ジム・クレイマー】またあいつが暴れ出すのか！？ゲームプラン！【Mad Money】

何と言えばええやろうか。もしかしたらわいらは一時的に、誰が主導権を握り、株価を決め、相場が上がる日か下がる日かを決めているのかを忘れてしまっていたのかもしれん。見えざる神の手のことではないで。そうや、トランプ大統領のことや。トランプ大統領は EU との通商交渉に不満を抱き、今朝早く「6 月 1 日までに交渉の席に着き合意しなければ、欧州に 50 % の関税を課す」と決めたんや。「話し合いはどこにも進んでいない！」として、EU側が譲歩しないことに苛立ちを示しとる。今は一部のEU製品に10％の関税が課されとるが、今回の表明はその大幅な上乗せとなるものや。

さらに関連する追加発言もあったで。トランプ大統領はSNSでApple を名指しして、インドで製造された携帯電話に 25 % の関税をかけると言い出したんや。iPhoneの生産を中国やインドではなくアメリカで行うよう求めているということや。まあ正直なところ、Apple にとっては 25 % を払ってしまうほうが安上がりかもしれんとわいは思うんやが、こうした企業に非友好的な政府介入のせいで、今日はダウは-0.61%、SP500は-0.67%、そしてナスダックは-1.00%と下落の日になったで。

みんなこの男についてどう思う？確かにトランプはマーケットを面白くする。でも彼のこうした行動のせいで、わいら投資家が株を保有するのはずっと難しくなったんや。もう株価平均が底を打ったと思う時しか個別株を買えんようになってしまうやないか。わいらはいつのまにか、「大統領はもう市場をかき乱さないだろう」と楽観視しとったかもしれん。2 月の高値から 4 月の「解放の日」後の安値まで 19 % も急落したことで、彼は教訓を得たとみんな思ったんや。でもそれは甘かったで。

ということで、来週はどうなるのか、ゲームプランにいきたいんやが、まず月曜日はメモリアルデーで株式市場はお休みや。だから相場がどうなのかは火曜日まで待たんとあかんが、火曜日の寄り付きで何が起こるかは読みづらいで。大統領が再び関税戦争に乗り出すならどうなるかわかったものやない。三連休を前に株価は今日少し戻る動きがあったのは心強いものの、わいは用心しとるで。実際、きょうわいのファンドでは銀行株を少しだけ買ったんやが、がっつり買うのは控えたんや。というのも、今の相場には下向きのバイアスがかかっていると感じるからや。ここ何日も早朝の先物が下落し続けていて、午前 3 時半、4 時にはすでに市場が真っ赤に染まっているのを見るのにうんざりしとる。

さて、来週は決算発表が山場や。Costco、Dell、Salesforce、Nvidia の決算はセクター全体、場合によっては市場全体を動かしかねないんや。まず火曜日からいこうやないか。まずは年初来トップクラスのパフォーマンスを誇る AutoZone の決算があるで。このオートパーツ・チェーンは絶好調で、しかも AutoZone はわいが見た中で最もアグレッシブな自社株買いを行っていて、過去 10 年で発行株式の半分以上を消却しとる。もし株価が下げたら、ぜひ買い向かっていいと思うで。数日以内に経営陣もあなたと一緒に買いに来るはずや。

そして火曜引け後には、最近急に注目を浴びている Okta が決算を発表するんや。CEO の Todd McKinnon も番組に何度も登場しとるから、この会社はおなじみやろ。ログイン認証や資格情報管理を手掛けるサイバーセキュリティのスペシャリストや。アナリストたちは四半期決算を前にして競うようにこの銘柄を推奨しとる。わいも同意や。数字はきっと素晴らしいものになると思うで。

水曜の朝は、注目は 2 社の小売企業や。まず、株価が暴落した Dick's Sporting Goodsの決算があるで。この会社は先週、Foot locker を買収する計画を発表したんや。Dick's としては Footlocker 買収の合理性を説明することが極めて重要やで。説明がうまくいけば株価が持ち直す可能性もあるが、現時点では「この取引は Dick's にとって悪い意味でのゲームチェンジャーだ」と見る向きが大半で、この株は文字どおり切り刻まれた状態や。後は、長らく業績不振が続く百貨店チェーン Macy'sの決算もあるが、不振が引き続き続くのかどうか見てみようやないか。

さて、水曜の夜は大一番や。Nvidia と Salesforce、2 社そろって決算発表があるで。昨今の Nvidia は常に注目の的やが、この社はハードウェア企業から「巨大なソフトウェア部門を持つハードウェア企業」へと変貌しつつあることを、CEO の Jensen Huang が今週台湾での大演説で語ったんや。今回のカンファレンスコールでもソフトウェア面の話が増えるはずで、それこそが株価のさらなる上昇余地を裏づけているとわいは思うで。わいのファンドはこの株を長らく持っとるが、しばらくは静観するつもりや。

一方 Salesforce は判断が難しい銘柄や。あるアナリストは「AgentForceが収益を大きく押し上げている」と言い、別のアナリストは「AgentForce はむしろダメで、CEO の Mark Benioff が今期数字を達成しにくくする」と指摘しとるや。だからわいのファンドは今回も決算前には動かない方針や。さらにややこしいのが、今夜浮上した「Salesforce が再びデータ管理企業のInformaticaの買収交渉に入った」との噂や。この案件は去年 4 月に報じられた際に、Salesforce 株は急落して、交渉中止でようやく株価が戻った経緯があるんや。そして今日も同じニュースで株価が約 4 % 下落したんや。Dick's の Footlocker買収の時と同様の反応がおこる恐れがあるから、Mark Benioff も十分に警戒しているはずやが、どうなるやろうか。

木曜の引け後には、安定した好決算を出しながら毎回売り込まれる企業、Costco が登場するで。素晴らしい決算を見てなお株価が下がるのは不安になるんやが、この会社の場合はそれが常なんや。しかも Costco は月次売上を公表しとるから、業績動向はおおよそ把握できとるんや。わいはCNBC Investing Clubのメンバーにはいつも「決算前に Costco を買わないように」と助言しとる。決算後に下げてから買った方がたいてい良い値段で拾えるんや。ちなみにこれは TJX でも同じで、急落後しばらく待てばたいてい反発してくるんや。実際 TJX はわいのファンドで持っとる株の中でも最も過小評価されている銘柄かもしれん。

リテールの話を続けると、約 2 年前に Richard Dickson が CEO に就任して以来、Gap では改革が進んどる。そのGapの決算が木曜日になるで。前四半期以降、アナリストたちは彼のストーリーに熱狂しとるんや。そして今、もし決算前に株価が下がるようなら、わいは買っても大丈夫やと思うで。Gapを下げたところのGapで買う、というわけや。同じく 木曜の夜 には Marvell TechnologiesとDellの決算があるで。両社ともデータセンターに欠かせない存在で、アナリストの憶測としては、「Marvell は決算を外すかもしれないが Dell は予想を大きく上回るだろう」というものや。わいは Marvell が失望決算になるとは思わんで。Murphy は優秀な CEOやからな。ただ Dellについては賛成や。相当良い数字を期待しとるで。株価が下がれば、Michael Dell は前に言ったとおり大規模な自社株買いを進めるやろう。

木曜日はさらに Zscalerの決算があるで。このクラウド型サイバーセキュリティ企業はサプライズ決算を出すのが常で、どんな数字を出しても株価にあまり影響しないほど株式市場から愛されとる。今回はどうやろうか。Ulta Beauty も決算があるが、非常に強い決算の数字を出すという噂が多く聞こえてくるで。Ulta は短期売買の対象になりがちな銘柄やが、わいはそのやり方が好きではないんや。小売セクターは今、とても読みづらいんや。Ulta を保有したいなら、トレードせずに持ちっぱなしにしてほしいで。行ったり来たりすれば損をするだけや。ビジネスを信じるなら、腰を据えて乗り切ろうやないか。

金曜日 には PCE（個人消費支出）価格指数の発表があるんやが、これでインフレ動向がわかるで。パウエルが Fedの議長職に就くまでは注目度の低い指標やったが、彼が最も重視するインフレ指標として知れ渡って、今や極めて重要や。インフレを落ち着かせる必要があるんやが、関税の影響で多くの物価が上がっている状況では難しいんや。関税は輸入品への「売上税」に過ぎず、それ以上でも以下でもないからな。

結論やが、この週は変動の激しい一週間となりそうや。大統領が貿易相手国を批判する投稿や、彼らの「過失」への言及が相場をかき乱す場面がきっとあるやろう。それでも株式市場は今朝のネガティブな投稿をほぼ受け流し、10 年物国債利回りという永遠の関心事に目を向けたんや。金利が安定していた分、トランプの高関税再主張を相殺できたわけやが、この状況が来週も続くことを期待したいが、まあ、あまり期待し過ぎない方がええかもしれんな。