こんにちはマカベェです。
ジム・クレイマーの5/29のMad Moneyはどうだったでしょうか。

もしかしたら、アメリカ大統領を除けば、交渉テーブルの双方で関税を望んでいる者など誰もいないのかもしれんな。そうやってわいが感じたのは、連邦判事団が今年の関税の大半を違法と裁定して、その報道を受けて夜間取引で先物が急騰したものの、ホワイトハウスが「別の手段でも関税を課す」と示唆した途端に急落したときやった。その後、連邦控訴裁判所が最初の判決の執行を一時停止して、控訴審の結果が出るまで関税は当面存続することになったんや。

結局関税は継続かい、となって序盤の上昇分を吐き出したものの、終わってみれば今日は ダウは+0.28%、SP500は+0.40%、そしてナスダックは+0.39%と上昇の日になったで。でも、たとえば最初の、裁判所が関税を差し止めたと伝わった直後には、ナスダックはめちゃめちゃ大きく跳ね上がっとったんやで。それでもトランプ大統領は、アメリカ国際貿易裁判所が「制度と憲法で守られた権力分立を逸脱している」と指摘したことなど意に介していないようやった。

とにかく彼は何が何でも関税を維持するつもりなんや。現時点では、Elon Muskがかつて率いていたDogeによる節約分に加えて、関税が財務省にもたらす歳入は数千億ドル規模に達する可能性があるんや。でも、もしその楽観的な試算を倍にしたって、大統領の「ビッグでビューティフルな」予算案が連邦財政に課しかねない3兆ドルの赤字を埋めることなんてとてもできないんや。さらに重要なのは、わが国の経済がマイナス圏に転落したという事実や。今日公表されたデータによれば、第1四半期のGDPは0.2%減少したということなんや。

GDPの減少は関税発効前の駆け込み需要が一因だと主張する向きもあるやろうが、じゃあ先週の週間新規失業保険申請件数が過去3年で最高となった理由は何やろうか?中古住宅の成約前販売件数が2022年9月以来の大幅減となったのはなぜやろうか?住宅ローン金利が7%と高過ぎるからやろ。ちなみに今日は金利が低下したで。経済が弱まれば金利が下がるのは当然で、それを受けて、「景気を立て直すためにはFedが利下げせざるを得ない」との議論が活発化しとる。でもわいは問いたい。大統領が状況を悪化させたために、なぜFedがそれを是正しなければならんのや?

そもそも、この国では通常そんなふうに物事が進むわけではないんや。ホワイトハウスが火をつけ、関税という「保険金」を受け取り、消防署=Fedに消火活動をさせる、そんな仕組みは本来存在しないんや。いまトランプ政権が望みを託しているのは、貿易相手国が「最高裁が関税を支持するだろう」と信じるか、次の関税に対する訴訟が失敗に終わることや。司法が関税を退ければ、トランプには新たな貿易協定を交渉するためのカードが一枚も残らなくなってしまうんや。

もし最高裁がホワイトハウスに反対する判断を下せば、リテール各社が関税の痛みを消費者に転嫁するために一斉値上げを行うのでは、という心配は不要になる。ここで番組冒頭の話に戻りたい。先物市場での急激な買いがその後の怒涛の売りに転じたのを見て、わいはこの判決が途端プ大統領にとっては何の意味も持たないことがはっきりしたんや。それで考え込んだんや。いったい誰が本当に関税を望んでいるのか、と。リテール各社の決算が出そろい、価格が確実に上がることはもう明らかや。企業は将来の関税コストを吸収する余裕などなく、結局は消費者、つまりあなたに負担は転嫁されるんや。ほぼすべての企業がそうや。

トランプ大統領は「関税コストは外国メーカーに負担させる」と言うが、アメリカの小売業者にそんな交渉力はないんや。あの Walmart でさえ、中国の仕入れ先から大幅な値引きを得られないんや。だから消費者としては、関税が生活費の上昇に直結する以上、関税には反対せざるを得ないんや。前回の選挙でも明らかなように、人々はインフレに非常に敏感や。バイデン 政権下の物価上昇が嫌だったのなら、トランプ政権下だって好ましく感じるはずがないやろ。「国のためだから」などという気にはまずならないやろう。

大量に商品を輸入する企業に勤めているなら、関税体制下では利益が減り、業績が悪化することが分かるはずや。これが今日の Best Buy や HP Inc. の業績未達・失望決算となって表れてきたんや。競争力のある小売業者や PC メーカーを望むなら、彼らが十分な利益を確保できる環境が必要なんや。株主にとっても関税は望ましくないで。だからこそ、判事が関税を違憲と裁定した瞬間、先物は急騰したんや。関税が阻止されれば、人々は何でも買いに走るんや。

製造業者の立場なら、アメリカ国内に新たな工場を建てるほどの熟練労働者を確保できないんや。アメリカは高賃金で失業率が低い国や。将来、AI 革命でホワイトカラーの大量解雇が起こるような状況になれば別やが、今のところそうはなってないんや。現状では国内製造コストが途方もなく高くて、余裕などないんや。多くの企業は、トランプの通商政策の主目的の一つが中国の足を引っ張ることだと考えとる。でもその点については Apple の Tim Cook に聞けば分かるやろう。Apple は iPhone の生産を必死にインドへ移そうとして、かえって痛い目に遭っとるんや。多くのアパレル企業もベトナムに生産を移したが、関税という剣が振り下ろされ、結果はさらに悲惨になるばかりや。まるで『サマラの約束』のように、死を避けようと町を出ても、結局死は行き先で待ち構えているようなものなんや。そのツケは結局、消費者が負担するということになる。

わいは無制限の自由貿易の信奉者ではないで。自由貿易が多くの町を疲弊させたことは承知しとる。彼らはいまも必死に生き残りをかけて闘っとるが、近いうちに復活するとは思えん。リショアリングも限定的で、かつて雇用があった場所に戻るわけではないんや。わいらは貿易でルールを守る数少ない国なんやが、それはわいらにとってうまくいかんかったんや。わいはそのことは気に入らん。だからこそ、わいはいわゆる「フェアトレーダー(公正貿易主義者)」や。

政府には天秤に親指を乗せ、アメリカ企業に有利となるよう貿易相手には不利を与えてほしいと考えるで。だから理屈のうえでは、わいはたいていの関税を支持するんや。関税は必要悪と思うからや。でも「悪」であることに変わりはないわけで、拙速で慌ただしい「秒読み」のような方法ではなく、熟慮のうえで運用してほしいんや。わいらに真に損害を与えてきた相手には、厳しく、場合によっては苛烈にやってほしい。そうでない相手にはそこまで苛烈でなくてもいいんや。

でも、現行の大統領の関税プログラムはそうは実行されてないんや。こちら側からの発表は拙速で、常に時計がカチカチと刻み、われわれを消耗させているかのようや。ほぼ毎日、わいらは「関税の重荷を背負う獣」と化しとる。もしもっと熟慮して実行されていれば、関税が一時的に差し止められた際に先物が夜間市場であれほど急騰することはなかったはずや。今更進路を変えるには遅すぎるやろうか。わいの望みは、関税が雇用を創出し、財務省に資金をもたらし、企業に被害を抑えるための十分な猶予を与える形で、まだ適切に設計し直せることや。

そもそもそれがもともとの計画ではなかったんやろうか?今まさにトランプがそれを実行していると信じる人がいるやろうか?結論やが、公正貿易を支持する立場であっても、貿易相手国が「裁判所が関税制度全体を無効化しうる」と知った今、どうやって意味ある協定を取りまとめるのか疑問に思わざるを得ないんや。そう考えると、司法が関税を退けることこそが、この悪夢から抜け出す最も容易な道なのかもしれん。この先このごたごたがどうなるのか、ずっと追わんとあかんのは難儀なことやで。
ここからどうなっていくでしょうかね。
応援よろしくお願いします。
